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会社やお店でお祓いを考えるとき、まず困るのが「どこに頼むのか」「いくらかかるのか」がはっきりしないことだと思います。
先に結論だけ書くと、3万円前後が一つの目安です。出張祭典を2万円台から受ける神社もあります。ただし金額に何が含まれるかは神社ごとに違い、神職の送迎を依頼者側で行う場合もあります。
この記事では、実際に神社が公開している初穂料の金額と条件、依頼先の選び方、予約から当日までの流れをまとめます。あわせて、従業員がいる職場で行うときの注意点と、お金をかけずに自分でできることも書きます。
目次
会社やお店で行うお祓いは、事業所・店舗に神職や僧侶を招くか、こちらから神社に出向いて祈願してもらう宗教的な行事です。事業の繁栄や、そこで働く人の安全を願って行われます。
やり方は大きく2通りあります。
新しい建物を建てるときの地鎮祭も、この出張祭典のひとつです。
入居する物件で過去に人が亡くなっているケースについては、事故物件のお祓いは必要なの?で扱っています。
決まりがあるわけではありませんが、次のような場面で行われることが多いです。
ただし繁忙期は出張祭典を受け付けない神社があります。後で挙げる大神神社は、正月等の繁忙期や祭典日は断る場合があるとしています。年始に行いたいなら早めに問い合わせてください。
一度きりという決まりはありません。節目だけで済ませる会社もあれば、年始や創立記念日に毎年行う会社もあります。
神社では神主が神様に、お寺では僧侶が仏様に祈ります。どちらに頼むかは会社の考え方次第です。ただし浄土真宗では祈祷という考え方を取らないとされているので、お寺に頼むなら宗派を確認しておいてください。
いちばん一般的な依頼先です。電話で予約でき、初穂料を公開しているところもあります。近くの神社でも、商売繁盛で知られる神社でも構いません。
檀家になっているお寺があれば、そちらに相談する方法もあります。
神社やお寺ではなく、個人の霊能者に依頼する人もいます。祓い屋と呼ばれることもあります。
神社との違いは、料金と内容が公開されていないことが多い点です。神社なら初穂料が事前に分かることが多いのに対し、個人の場合は問い合わせないと分かりません。
出張の対応範囲は神社によって扱いが違います。神田明神は出張祭典を「氏子区域内」と明記していますが、十日恵比須神社と大神神社は範囲を公開していません。自社の所在地が対象かどうかは電話で確認してください。
金額は神社ごとに決まっていて、全国共通の相場があるわけではありません。ただ、初穂料を公開している神社があるので、そこから目安をつかむことはできます。
以下はいずれも2026年7月時点で各神社が公開している内容です。改定されている場合があるので、実際の金額は公式サイトか電話で確認してください。
神田明神(東京都千代田区)は、法人向け祈祷の初穂料を公開しています。
授与される木札の大きさと、社員に配るお守りの数で分かれています。参拝の所要時間は20分程度、受付は午後3時45分までとされています。
注意したいのが「祈願内容は2つまで」という条件です。商売繁盛と社員の安全と交通安全、というように複数を願いたくなりますが、上限があります。
なお神田明神は規模の大きな神社です。3万円からという金額を全国の下限と考えないでください。地域の神社では、これより低い設定のところもあります。
神田明神は出張祭典も公開しています。氏子区域内が対象で、金額は準備の分担で分かれます。
自分で揃える手間と2万円を天秤にかけることになります。
新潟総鎮守 白山神社(新潟市)は、出張祭の初穂料を2万円以上としています。お供え物を神社側で用意する場合は3万円からです。開業・開店のおはらいも対象に含まれます。
ただし3万円のほうを選んでも、清酒(1升瓶または4合瓶)、水、送迎用の車は依頼者が用意します。全部お任せになるわけではありません。申し込みは1週間前まで、1月と11月は受けられない時間があるとされています。
十日恵比須神社(福岡市博多区)は、出張祭典の初穂料を30,000円としています。お供え物代を含む金額です。開店清祓、事務所移転清祓、社運隆昌祈願祭、社員健康祈願祭、創立記念祭、神棚祭などが対象に挙げられています。持ち込みのお供え物がある場合は、受付時に申し出るよう案内されています。
大神神社(奈良県桜井市)は、出張祭典の初穂料を基本50,000円としています。出張の初穂料、当日持参する御神符、神饌(お供え物)、祭具費等が含まれるとされています。工場・職場の清祓が対象に含まれます。
ただし大神神社には、金額以外に押さえておくべき条件があります。
つまり5万円は上限ではありません。さらに、車の手配と往復の運転という手間も発生します。金額だけを見て比較すると見誤ります。
十日恵比須神社は「お供え物代を含む」と明記していますが、祭具費については触れていません。大神神社は祭具費まで含む一方で送迎が必要です。白山神社は3万円でも清酒と水と車が要ります。同じ2万〜5万円でも中身が違います。金額そのものより、何が含まれ何が別途かで比べてください。
表書きは「初穂料」または「玉串料」、その下に会社名。紅白の蝶結びの祝儀袋を使うのが一般的です。中袋の書き方や新札の要否は神社で案内が異なるので、予約のときに一緒に聞いてください。
店舗は会社の事務所と事情が違うので、分けて書きます。
開店前なら開店清祓、営業中の店で商売繁盛を願うなら商売繁盛祈願です。予約のときにどちらかを伝えると話が早く進みます。十日恵比須神社の3万円、白山神社の2万円以上は、どちらも開店・開業のおはらいを対象に含んでいます。
店内で行うぶんには問題になりにくいのですが、店頭や共用部を使う場合は管理会社や大家への確認が必要です。後から言うとこじれます。
営業中に行うと客の出入りと重なります。定休日か開店前の時間に合わせると無理がありません。屋外で行うときは、近隣に一声かけておくと行き違いが起きにくくなります。
神社が用意する場合と、こちらで揃える場合があります。どちらになるかは予約のときに必ず聞いてください。こちらで用意するなら、お神酒、米、塩、水、野菜、魚などを求められることがあります。品目だけでなく量も確認しておくと当日あわてません。
服装は正装でなくても構いませんが、清潔感のある格好にしておくと安心です。神棚を移す場合は、移動のしかたも相談しておいてください。
お札は神棚があればそこへ、なければ目線より高い清潔な場所に置くのが一般的です。
社員に配るお守りは、受け取りたい人だけが受け取れる形にしておきます。全員に配ると、受け取りたくない人が断りにくくなります。
神社に頼むほどではないけれど、まず自分で何かしておきたい。そういうときにできることもあります。
盛り塩や清め塩に効果があるとは実証されていません。「ここで区切る」という合図として受け止めるのが現実的です。換気と片付けと掃除は、それ自体で職場の空気を変えます。まずここからで十分です。
従業員がいる会社で行う場合、個人で受けるときとは別の配慮が必要になります。
職場で効いてくるのは労働基準法第3条です。使用者は労働者の信条を理由に、賃金・労働時間その他の労働条件について差別的な取扱いをしてはならないと定めています。行事に参加しなかったことを理由に評価や待遇を下げれば、この条文に触れる可能性があります。
(信教の自由を定めた憲法第20条は、もともと国と個人の関係についての規定で、会社と従業員の間に直接適用されるものではありません)
従業員の信仰はさまざまで、特定の宗教の行事に参加したくない人もいます。外国籍の従業員がいる場合は、宗教上の理由で参加できないこともあります。
参加を業務命令のような形にしないでください。欠席しても不利益がないことを、あらかじめ伝えておくのが安全です。参加する人だけで行う形でも差し支えありません。人数の扱いについては、予約のときに神社に相談してください。
初穂料の扱いは金額や目的によって変わります。顧問税理士には次の点を聞いてください。
神社では領収書が出ないこともあるので、記録の残し方は先に決めておいてください。
事故が続く、体調を崩す社員が増える、経営が思わしくない。不運が続いていると感じて、仕事運を上げたい、職場の邪気を払いたいと考える方は多いです。
神社に頼む場合、「不運を払ってほしい」と伝えるより、祈願の名前で言うほうが話が早く進みます。仕事運や経営に関わるものだと、社運隆昌祈願、商売繁盛祈願、厄除といった名前が使われます。
十日恵比須神社は社運隆昌祈願祭を、神田明神は法人向けの祈祷を用意しています。どれに当たるか分からないときは、状況を伝えれば神社側が判断してくれます。
お祓いが区切りをつける行事として意味を持つことはありますが、原因が別のところにある場合、お祓いだけでは状況は変わりません。あわせて次のような点を見直しておくことをおすすめします。
労働環境について相談したい場合は、各都道府県の労働局や労働基準監督署に総合労働相談コーナーが置かれています。予約不要・無料で、労働者だけでなく事業主も相談できます。安全衛生の面では、産業医や労働基準監督署が相談先になります。
体調がすぐれない状態が続いている場合は、まず医療機関で診てもらうことをおすすめします。霊的な相談は、それとは別のものとして考えてください。
なお、経営者個人として霊的なことを相談したい場合は、法人向けのお祓いとは分けて考えたほうが整理しやすいです。個人の除霊・浄霊については除霊・浄霊はどこで受けられる?にまとめています。
不安をあおるところは避ける
「このままでは会社が傾く」「今すぐやらないと手遅れになる」といった言い方で急かしてくるところからは、離れてください。
法人の契約には消費者保護の制度が使えない
ここは会社として依頼する場合に、特に注意が必要な点です。
不安をあおって契約させる手口については、消費者契約法に取消しの規定があります。霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、本人や親族の生命・身体・財産などについて重大な不利益が生じると示して不安をあおり、その回避にはこの契約が必要不可欠だと告げた場合が対象です。
不安をあおられただけで自動的に取り消せるわけではありません。
ただしこれは個人が消費者として結んだ契約が対象で、会社や店舗が事業のために結んだ契約には適用されません。個人事業主が事業のために依頼した場合も同じです。消費生活センター(消費者ホットライン188)も、原則として消費者からの相談窓口です。
法人としての契約でトラブルになった場合は、弁護士や、商工会議所・中小企業向けの法律相談窓口が相談先になります。経営者が個人として契約した場合は、消費者ホットライン188が使えます。
効果を保証する言い方に注意する
お祓いによって業績が上がる、事故がなくなるといったことが実証されているわけではありません。そう保証してくる相手は、その時点で信頼できないと考えたほうがよいです。