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新しい工場を動かすとき、機械を入れるとき、営業車を増やすときに、神社で安全を祈ってもらう会社があります。どれも「会社のお祓い」とまとめて呼ばれがちですが、神社の案内を見ると、何の安全を願うかによって祭典の名前が分かれていることがあります。
この記事では、工場・機械・社用車のそれぞれで何を願うのか、神社で受けるのか現場に来てもらうのか、頼む前に何を確かめておくとよいかを紹介します。会社の建物の厄や不調を祓うお祓いと、初穂料の目安や神社への頼み方は、会社・お店のお祓い|費用の目安と頼み方にまとめています。
会社にかかわる祭典を、目的ごとに分けて案内している神社があります。見付天神(矢奈比賣神社)の「会社関係の出張祭典」のページには、仕事始め、業務安全祈願、交通安全祈願、商売繁盛祈願、清め祓いの5つが並んでいます。
このうち業務安全祈願は、次のように説明されています。
新規に営業所や工場を設置した時や機械等の新規導入にともなう、業務安全を願う祭典です。
交通安全祈願のほうは、次のとおりです。
車両を用いた業務内容で、無事故無違反等を願う祭典です。
この案内では、工場を設けることと機械を新しく入れることが、同じ業務安全祈願に入っています。車両は、交通安全祈願として分けられています。見付天神は、これらを組み合わせた「業務安全・商売繁盛」のような祈願も受けるとしています。
同じ5つの中の「清め祓い」は、事故や災難があった場合のものです。新しく使い始めるものの安全を願う祈願とは、目的が違います。
清祓(きよはらえ、きよはらい)は、日本大百科全書によると、清めのための祓のことです。また、さまざまな穢に触れたときに、これを祓い清めることもいいます。社殿ができあがったときや神霊を祀る前に、社殿や調度を祓い清める儀礼もこう呼びます。さらに、「車両や事故のあった所を清めるときなどにもいう」と書かれています。
世界大百科事典は、個人の場合でも、新築した家に入居する前に祓をすることを清祓の例に挙げています。新しくできた場所を、使い始める前に祓い清めるという例です。新しい工場や機械、車の祈願も、使い始める区切りに神様に無事を願うという点では、これと重なるところがあると考えられます。
車を清めるときにも清祓という言葉を使うことがある、と辞典にはあります。工場や機械の祈願を清祓と呼ぶ例は、今回確認した資料には見当たりませんでした。機械の場合は、業務安全祈願や新設備安全祈願という名前で案内している神社があります。
見付天神と熊野神社の案内、明治神宮の解説文をもとに整理すると、次のようになります。神社ごとの呼び方を並べたもので、全国共通の分け方ではありません。
手配のうえでいちばん違うのは、祈ってもらう対象を神社へ持っていけるかどうかです。車は、明治神宮のように神社まで乗っていって受ける形があります。工場や据え付けた機械は動かせないので、その前で祈ってもらいたいときは、神職に現場まで来てもらう出張祭典を頼むことになります。
工場と機械は、同じ祭典の中で願うこともあります。工場の新設と車の祈願のように目的が違うものを一度に頼めるかどうかも含めて、組み合わせ方は神社に相談します。
愛知県東海市の熊野神社は、会社や工場の人に向けて、事故なく安全に作業ができるよう祈願すると案内しています。安全祈願のほかに、事業繁栄祈願や新設備安全祈願も受けています。拝殿には100人以上が入れるので、会社の皆で参拝して安全を祈ることもできる、とあります。
稼働の前に安全祈願祭を開いた会社の発表もあります。ダイヤモンドエレクトリックホールディングスによると、グループ会社の新潟ダイヤモンド電子は、2021年12月17日に「新潟ダイヤモンド電子株式会社 新工場安全祈願祭」を行いました。新工場の稼働に向けて、無事故・無災害で生産を始められるよう祈念したとしています。
発電所の例もあります。レノバは、苅田バイオマスの発電所の2021年2月2日付の記事で、1月18日に火入れ式を執り行ったと紹介しています。火入れ式は、ボイラで燃焼を始める前に、今後の発電所での安全を祈願して行う神事だと説明しています。
熊野神社は、工場の安全祈願とは別に、新設備安全祈願という名前の祈願を挙げています。見付天神では、機械の新規導入は工場の設置と同じ業務安全祈願に入っています。
呼び方が分からないときは、何の安全を祈ってほしいのかを伝えて相談する方法があります。見付天神も、案内に挙げた祭典のほかにも受け付けているので問い合わせてほしい、と書いています。
据え付けた機械や設備の前で祈ってもらいたいときは、出張祭典を頼むことになります。出張について神社ごとの違いは、後の「神社で受けるか、現場に来てもらうか」で紹介しています。
車は、神社まで乗っていって受ける形があります。観光庁の多言語解説文データベースに収められている明治神宮の解説文は、屋根付きの駐車スペースについて、次のように書いています。
この屋根の付いた駐車スペースは車のお祓いに使用されます。神社に自動車その他エンジン付きの車両を持っていくと、神主が厄を除け、事故のないよう安全を祈願するための特別な儀式を行います。新車を購入した際にお祓いを受けることが多いです。
これは明治神宮の例で、見付天神のように出張で受ける神社もあります。
熊野神社の交通安全の案内には、受ける時期として、一年の始まり、新車を買ったとき、運転免許証を受け取ったときが挙がっています。自動車だけでなく、バイクや自転車の祈願も受けるそうです。
何台もの車をまとめて受けられるのか、車ごとに申し込むのか、依頼する側が車の書類などを用意する必要があるのかは、今回確認した神社の案内には書かれていませんでした。台数と、車を持っていくのか現地に来てもらうのかを伝えたうえで、予約のときに確かめてください。
熊野神社は、会社や工場の安全祈願について、「安全第一を神様にお誓いをすると共にご自分の日ごろの安全活動を見つめ直す良き機会となることでしょう」と案内しています。交通安全の案内でも、運転にかかわる仕事をしている人に、自分の運転を振り返り、安全運転をあらためて神様に誓うよう呼びかけています。
機械の点検や作業手順の確認、車の整備や安全運転といった日ごろの安全の取り組みは、神事とは別にあります。熊野神社の言葉のとおり、祈願はそれを見直すきっかけにもなります。
見付天神は、予約のときに、会社名、代表者名、祈願の内容、希望の日時、参列する人数、祭典を行う場所を聞くとしています。工場・機械・車のどれの安全を願うのかも、あわせて伝えておきます。
熊野神社は、基本は神社で祈祷し、希望があれば現地に出向く出張祭典として行うと案内しています。
出張で受ける祭典の種類は、神社ごとに案内されています。参考資料に挙げた諏訪神社の出張祭典の案内には、地鎮祭、竣工祭、事務所開きなどが並んでいて、機械や車は出てきません。ただし同じ案内に「上記に無いものでもご相談に応じます」ともあります。現場に来てもらいたいときは、その内容で出張してもらえるかを予約のときに確かめます。
見付天神は、祭典は20分程度で、当日の準備品は神社が用意すると案内しています。一方、諏訪神社の案内では、お供え物は祈願主が用意するよう求めています。
祭典の名前や組み合わせ方、出張できるかどうか、必要な準備は、神社や祭典の内容によって異なります。この記事の整理を目安にしながら、実際の進め方は依頼する神社に確認してください。
初穂料やのし袋、当日の服装は、会社・お店のお祓い|費用の目安と頼み方で紹介しています。出張で行う神事が当日どのように進むのかは、事務所開きの神事の流れで一つの例を紹介しています。
神社によっては、工場の設置や機械の導入は業務安全祈願、業務で使う車は交通安全祈願と、願う内容で祭典を分けています。車は神社へ乗っていって受ける形もあり、工場や据え付けた機械の前で祈ってもらいたいときは出張を頼みます。何の安全を願いたいのかを伝えて、依頼する神社に相談してください。